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北窓 きたまど

便り

金沢の冬は、家電の季節である

金沢の冬は、家電が主役になる季節です。雪が通学の靴を濡らし、部屋の空気は灯油と洗濯物のあいだで乾きます。こたつの季節、と外の人は言いますが、香林坊の二階では、こたつより先にスイッチの感触を見ます。

雪の朝は、琺瑯が冷えています。指が滑るか、引っかかるか。その差は南のショーウィンドウでは分かりません。北窓の光は青く、金属の温度を隠さないからです。

飯釜の予約を朝五時に合わせる家が多いのも、この町の冬です。通勤の前に、蒸気が障子を濡らさないかを点検します。吹きこぼれ口が太い器は、香林坊の狭い台所では使えません。

ヒーターは部屋全体を諦め、足元の一畳だけを温めます。金沢の家は、開口部が多く、全室を均一にする発想がそもそも合いません。雪下ろしのサーキュレーターは、屋根ではなく、天井の暖気を下ろすための器です。

冬が終わると、台帳の頁は加湿器から除湿器へ移ります。同じ棚に両方があるのは、季節の移りが急だからです。家電の季節は、カレンダーより先に、窓の結露で分かります。

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